イオンの株価は2023年に入ってからも高い水準を維持。
株主優待や業績の好調さが人気の理由だが、割高感やリスクも無視できません。
この記事では、イオンの株価が高い理由と危険な理由を分かりやすく解説し、今後の株価の見通しや売り買いの判断基準を提供します。
イオンの株価が高い理由
業績が好調で、過去最高益を更新している
イオンは2023年3〜8月期の連結決算で、営業利益が前年同期比23%増の1176億円となり、2年連続で過去最高を更新しました。
連結決算とは、親会社と子会社を含めた企業グループ全体の財務状況や経営成績を示す報告書のことです。連結決算を行うことで、グループ内での取引を除いた正確な売上や利益が把握できます。
営業利益とは、売上から売上原価や販売費・一般管理費などの経費を引いたものです。営業利益は、商品やサービスの販売によって得られる利益のことで、企業の本業の収益力を表します。
ドラッグストアや不動産開発が伸びたほか、主力の総合スーパー(GMS)でも一定の構造改革効果が出たと言われています。
イオンは売上高ではセブン&アイやユニー・ファミリーマートに次ぐ国内第3位の小売業ですが、営業利益ではトップに立っています。
イオンは売上高に対する営業利益率が低いという弱点がありましたが、それを改善するためにコスト削減や店舗改装などの努力をしてきました。その成果が現れていると言えるでしょう。
株主優待が魅力的で、長期保有する投資家が多い
イオンは株主優待の内容がいい銘柄としても有名です。
株を100株以上保有すると、株主優待を受けるのに必要な「オーナーズカード」がもらえます。
このカードを買い物のときに提示すると、保有している株式の数に応じて、3・4・5・7%のキャッシュバックが受けられます。
引用:AEON
またイオンシネマ、イオンペットなどでも割引が受けられ、株主優待目当てで長期保有する投資家が多く、株価を支えています。
イオンは株主優待のほかにも、配当金も出しています。2023年度の年間配当実績は1株あたり36円。
株価が高いと配当利回りは低くなりますが、それでも1.2%程度はあります。
イオンの株主優待は、イオンでの買い物が多い人にとっては非常にお得。
イオンは総合ショッピングモールとして、食料品や日用品はもちろん、衣料品や家電、本や雑貨など、さまざまな商品を取り扱っています。
還元率3%の100株保有者なら半年で最大3万円(年間最大6万円)、7%の3,000株保有者なら半年で最大7万円(年間最大14万円)のキャッシュバックを受けられることになります。
近くにイオンがあってよく買い物する人は大きな節約になるね!
イオンの株主優待は、イオン以外のサービスでも割引が受けられます。
イオンシネマでは、通常1800円の鑑賞料金が1000円に、イオンペットでは、ペットのトリミングやホテルなどのサービスが10%割引になります。
また、イオンイーハートでは、カラオケやボウリングなどの施設が20%割引になります。
これらのサービスを利用する機会が多い人にとっては、イオンの株主優待はかなり魅力的です。
イオンの株主優待は、毎月20日、30日の「お客さま感謝デー」と「キャッシュバック特典」を同時に受けられます。
イオン系列店では、毎月20日、30日は「お客さま感謝デー」となっており、対象となる支払い方法で5%割引となります。
イオンオーナーズカードを保有していると、こちらの5%オフに加えて特典1のキャッシュバック特典を同時に受けられます。
5%割引+保有株数に応じた割引率(%)で、最低8%の還元は魅力的だね!
以上のように、イオンの株主優待は、イオンでの買い物やイオン以外のサービスを利用する人にとっては、大きなメリットがあります。
イオンの株主優待は、イオンの株価が高い理由の一つと言えるでしょう。
コロナ禍でスーパーマーケット事業への期待値が高い
コロナ禍でスーパーマーケット業界は売り上げが伸びています。
「巣ごもり需要」により、総菜などの食料品や、日用雑貨などが好調です。
イオンは全体の売り上げのうち、6~7割はスーパーマーケットによるものだね!
イオンは総合ショッピングモールですが、やはりスーパーのイメージが強いため、消費者は「イオンはスーパーだからコロナ禍でも堅調なはず」と感じるのでしょう。
そのためか人気が集まり、コロナショックの急落以降は株価が急速に上がりました。
イオンはコロナ禍に対応するために、オンライン販売や宅配サービスなどの強化も行っています。
イオンは自社のECサイト「イオンネットスーパー」や「イオンドットコム」のほかに、楽天やAmazonなどの大手プラットフォームとも提携しています。
また、イオンは自社の物流ネットワークを活用して、宅配サービス「イオンデリバリー」を展開しています。
これらの取り組みは、コロナ禍で外出を控える消費者のニーズに応えるとともに、イオンの収益にも貢献しています。
イオンの株価が危険な理由
イオンの株価が高い理由は分かりましたが、それだけではイオン株を買うべきかどうかは判断できません。
イオンの株価が危険な理由も知っておく必要があります。
PERが高すぎて超割高
イオンの株価が高いと感じるのは、PER(株価収益率)が高すぎるからです。
PERとは、株価を1株あたりの利益(EPS)で割ったもので、株価の割安度や割高度を測る指標!
イオンのPERは2024年2月9日時点で93.08となっており、これは小売業の平均PERである15.2の6倍。
イオンの株価は、利益に対して超割高であると言えるね!
イオンの株価が高いのは、株主優待や業績の魅力が反映されているからだと言えますが、それだけでは株価を支えるのは難しいと思われます。
イオンの株価は、PERが下がるまで上昇する余地は少ないと考えられます。
純資産を削って高い配当を出している
イオンは株主優待のほかにも、配当金も出しています。2023年度の年間配当実績は1株あたり36円。
これは前年度の30円から6円増額されたもので、イオンは配当金を増やすことで、株主に還元する姿勢を示しています。
しかし、この配当金はイオンの純資産を削って出しているという問題があります。
イオンの純資産は2023年8月末時点で1兆571億円となっています。これは前年同期比で1.7%減少。
純資産が減少しているのは、配当金の支払いが利益を上回っているからです。
引用:AEON
引用:AEON
イオンの2023年3〜8月期の連結純利益は600億円ですが、同期の配当金の支払いは680億円。
利益を上回る配当金を出すことで、純資産を減らしています。
純資産が減少すると、PBR(株価純資産倍率)が上昇します。
PBRとは、株価を1株あたりの純資産(BPS)で割ったもので、株価の割安度や割高度を測る指標です。
PBRが高いということは、株価が純資産に対して割高であるということです。PBRが低いということは、株価が純資産に対して割安であるということです。
イオンのPBRは2024年2月9日時点で 2.95倍となっており、イオンの株価は純資産に対して超割高であると言えるでしょう。
イオンの株価が高いのは、配当金の魅力が反映されているからだと言えますが、それだけでは株価を支えるのは難しいと思われます。
イオンの株価は、PBRが下がるまで上昇する余地は少ないと考えられます。
今後の株価の見通しと売り買いの判断基準
イオンの株価が高い理由と危険な理由を分かりましたが、それだけではイオン株を買うべきかどうかは判断できません。
イオンの株価の今後の見通しと売り買いの判断基準を知っておく必要があります。
イオンは国内だけでなく、海外にも事業展開しており、アジアを中心に、中国や東南アジアなどの国々で店舗を運営。
国際事業は、営業収益3703億5700万円(22.4%増)、営業利益89億3400万円(前年同期より82億1300万円の増益)。
セグメント名 | 営業利益 | 構成費 |
日本 | 1,031 | 72% |
アセアン | 308 | 22% |
中国 | 86 | 6% |
他 | 2.7 | 0% |
合計 | 1,428 | 100% |
イオンは海外事業の拡大を続けており、海外の利益の比率が30%を超えてくると投資家からの注目がさらに集まるでしょう。
海外事業での成長戦略を実行することで、株価にも期待値を高めることができます。
イオンは国内事業だけでなく、海外事業にも注力しているんだね!
イオンは海外事業での成長や不振によって、株価にも影響を与える可能性があります。
イオンの株価は、海外事業の状況にも注目しましょう。
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