2月13日にSBIアセットマネジメントより、欧州高配当株に投資する年4回決算型の5ファンドを募集し、同月28日に設定・運用を開始しました。
欧州の投資市場は、常に変動とチャンスに満ちています。
しかし、高配当株式ファンドはその波を乗り越え、安定した収益をもたらす鍵となり得るのでしょうか?
この記事では、専門家の分析を通じて、ファンドの実力と欧州市場でのその位置を明らかにします。
SBI欧州シリーズ 欧州高配当株式はどんなファンド?
「SBI欧州シリーズ 欧州高配当株式」は2024年2月28日に運用が開始されました。
予想配当利回り: 年率6.12%(租税条約税率控除後は5.9%)、信託報酬: 年率0.099%と安くなっています。
対象インデックス | アクティブ運用 |
主要投資対象 (ティッカー) | 欧州株式 |
主要投資対象の配当利回り | 年率6.12% |
決算日(毎年) | 年4回 3月、6月、9月、12月の各20日 |
初回分配支払い予定決算日 | 2024年6月20日 |
このファンドの構成銘柄は以下の通りになっています。
- 通信セクター
- 『ボーダフォングループ』 『テレノール』 『テレフォニカ』 『Tグループ』 『オランジュ』
- 金融セクター
- 『セント・ジェームズ・プレース』 『クレディ・アグリコル』 『HSBCホールディングス』 『BNPパリバ』 『ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア』 『スウェドバンク』 『アクサ』
- タバコセクター
- 『ブリティッシュ・アメリカン・タバコ』 『インペリアル・ブランズ』
- 自動車セクター
- 『BMW』 『メルセデス・ベンツグループ』 『フォルクスワーゲン』 『テランティス』『ミシュラン』 『ボルボ』
- 公共事業セクター
- 『エンジ―』 『ナショナルグリッド』 『イベルドローラ』 『エクイノール』
- ファッションセクター
- 『スウォッチグループ』 『LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン』
- 天然資源セクター
- 『グレンコア』
- 物流セクター
- 『DHLグループ』
- 製薬セクター
- 『ロシュ・ホールディング』
- 食品セクター
- 『ネスレ』
これらの銘柄は、SBI欧州高配当株式(分配)ファンドのポートフォリオに含まれています。
SBI欧州高配当株式(分配)ファンドは、企業のファンダメンタルズ、株価のバリュエーション、時価総額や流動性も勘案して運用。
情報によると、ファンドは時価総額過重ではなく、バランスの取れたアプローチを採用。
ただし、具体的な時価総額の配分についての詳細は公開されていないため、最新のファンド情報や市場動向を確認することをお勧めします。
ファンドの特色として中長期的に元本を維持・上昇を狙い配当金を出し続けることです。
しかし、分散は30銘柄と少なく分散効果が弱いように感じます。
分散が少ないと、1銘柄あたりの影響が大きくなり、1つでも無配ととなれば年率もかなり低下します。
構成銘柄を見ると安定して配当を出している銘柄は少ない状態。
また、原資となる十分な利益がないにもかかわらず、過分な配当金を出す場合があると記載もされています。
資産を売却したり、積み立て金を取り崩したりして配当金に回すため、配当は高いが業績や財務状況に悪化している可能性がるので注意しましょう。
高配当利回りには注意が必要で、タコ足配当を出す企業は業績が悪化している可能性があり、株価が下落する可能性もあるよ!
欧州の経済状況は?
2024年のヨーロッパ経済状況については、2023年に停滞が続いた後、2024年には若干の持ち直しが見込まれています。
特に、高インフレ率の収束や利下げ開始が景気回復の好材料となっています。
インフレ率の低下が実質賃金の上昇を支え、消費の回復を促しているとの見方があります。
これにより、経済活動は徐々に加速すると予測されています。
労働市場は堅調であり、消費の回復を支える要因となっています。
欧州中央銀行(ECB)は、インフレの沈静化を受けて、金融政策を緩和方向へと転換する可能性があるとされています。
次にヨーロッパの経済状況を、GDP、CPI、失業率、貿易収支、政府の財政状況、金融政策の各指標から見てみましょう。
ヨーロッパのGDPは2024年第1四半期に、ユーロ圏とEUでそれぞれ0.3%増加しました。これは前年同期比でユーロ圏が0.4%、EUが0.5%の増加となっています。
CPI(消費者物価指数):2024年4月のユーロ圏の年間インフレ率は2.4%で、前月と比較して安定しています。前年の同じ時期には7.0%でした。
ヨーロッパの失業率は、2024年2月に6.00%を記録し、前月と比べて横ばいの結果となっています。
2024年3月のEUの貿易収支は約21669.8百万ユーロの黒字。
英国では2024年内に総選挙が予定されており、政権交代が起こる可能性があります。これが長期金利など金融市場に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
資金調達環境が厳しい中で、構造的な課題に対処するための歳出圧力が増しています。
欧州中央銀行(ECB)は、インフレ率が目標に戻るために十分な引き締めを行ったとの見方を示しており、市場は2024年の利下げ幅の予想を拡大させています。
これらの指標を総合すると、ヨーロッパ経済は成長が続いているものの、インフレ率の安定化や失業率の低水準維持、貿易収支の黒字など一部好材料が見られます。
しかし、政府の財政状況には不透明感があり、金融政策についても今後の動向が注目されています。
(年) | GDP成長率(%) | CPI(%) | 失業率(%) | 貿易収支 (10億ドル) | 政府財政収支 (GDPの%) | 金利(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
2015 | 2.0 | 0.2 | 9.4 | 12.3 | −2.4 | 0.05 |
2016 | 2.0 | 0.2 | 8.9 | 13.4 | −2.1 | 0.00 |
2017 | 1.8 | 1.5 | 8.3 | 14.2 | −1.7 | 0.00 |
2018 | 2.0 | 1.8 | 7.8 | 13.8 | −1.0 | 0.00 |
2019 | 1.6 | 1.3 | 7.6 | 15.1 | −0.6 | 0.00 |
2020 | −6.1 | 0.3 | 8.4 | 10.4 | −7.1 | 0.00 |
2021 | 5.2 | 1.8 | 7.5 | 12.9 | −5.9 | 0.00 |
2022 | 5.4 | 2.2 | 7.2 | 14.3 | −3.2 | 0.00 |
2023 | 3.3 | 3.1 | 6.8 | 13.7 | −2.3 | 1.00 |
2024 | 3.7 | 4.9 | 6.5 | 14.0 | −2.0 | 3.50 |
コメント